ベンチさんと私が名付けた人は、目黒林試の森のベンチで生活している人で、身なり、様子が一般的な路上生活者とは違う人で、7年以上も前から森に出没している老人です。
2年位前からその様子が気になり、どんな理由があっての事だろうと考え始めての観察です。
9月は雨が多かったので、見かける時は大きなビニール袋を頭から足の先まですっぽり掛けて眠って居る日が多かった。
私は雨の合い間で太極拳に通ったので15日しか出席していないが、ベンチさんは毎回そこに居た。
ベンチさんは近頃は起床時間が早くなったようで、前を通るとすでに起きてメールを見ていたり、食事をしていた。思い切って「お早うございます」と声を掛けた。一度で聞こえないようなので、もう一度「お早うございます」と声を掛けると、私に気付きオ~と言う感じで顔が緩んだと同時に、口が大きく開き、満面の笑みで挨拶を返してくれた。
アッ!! 何と歯が抜けていて数本しか無い。口のなかが全部見える程の嬉しそうな笑顔だった。余程嬉しかったのか、人懐っこい人なのだと思った。
最近は帰りの道順をベンチさんの居る芝生広場を回って帰るようにしている。これで2回連続で挨拶が出来た。
朝、森に通う人達はそれぞれに散歩、ラジオ体操、気功、太極拳、ボクシング、バドミントン、老若男女思い思いに地域の人達が過ごしている、憩いの場としてとても重宝している。
ベンチさんの存在は皆知っているが、素性を知っている人はいない。
これから寒くなるが、冬が元気に越せるのか、それがまた気掛りになる、肌寒い朝の出来事。