日曜日、書庫の整理をしてい眼に飛び込んだ1冊、
手にとって読んでいくと、私が日頃椅子に対して疑問に思っていた事がとてもよく解る内容でした。
人は老いる過程で、いすの座り心地が違ってくる、その人の心地を大切に椅子を作ると云う、
椅子張り職人宮本茂紀さん著書の 「世界でいちばん優しい椅子」 でした。
ご本人は職人と名乗っておられますが、家具のモデラーの第1人者、教育者、それに実業の経営者です。
また当社の仕入先であり、得意先でもある㈱ミネルバの社長様が作者です。
この5年私はいすの座り心地が気になり始め、色々の椅子を購入しました。一人暮で6つもの椅子があります。
その日の場面、疲労度、作業,、くつろぎ状況により、座りたいと思う椅子が違うのです。
元気な時は籐の椅子、休日の朝はソファー、3度の食事時の椅子、風呂上がり就寝までの少しのテレビ鑑賞、
新内のお稽古には,籐の小椅子。新聞読むときはフローリングに直座りなど、生活のシーンで使い分けています。
どうしてこんなに椅子があるのかと、不思議がられていましたが
移り気で、衝動買いで、欲しがり屋で、購入していた訳ではないのが、この本で証明されました。
老いていく過程で、身長ががちじみ、お尻の肉が落ち、身体を支える筋肉が衰えいく身体に、やさしい椅子を本能的に
選んでいたようです。
ささやかな私の贅沢と思っていましたが、これは贅沢ではなく、自分で身をかばっていたのでした。
その理屈が 「世界でいちばん優しい椅子」 を読んで良く解りました。
人の懐に包みこまれているような安らかな感触が、心身をいやす椅子の条件ではないかと、私はおもいました。
宮本茂紀さんは今年72歳、自分の老化と同じ歩調で椅子が変化し、座る人の状況に合わせて変化する、究極の人に優しいマイチエア作りを目指して、挑戦し続けるパワーは益々健在です。
ぜひ 「これだ」、と云う 座り心地の良いマイチェー を探し求めるのも、楽しい事ではないでしょうか