2022-17 2022年12月インフォメーション最終号
今年もたくさんのお引き立てを頂きまして大変有難く、心よりお礼を申し上げます。
私は、商業高校を卒業して1年間銀行に勤めた後、20歳から両親が創業した襖材料卸業の家業に就きました。ただひたすらに後ろを振り返ることなく60年間を駆け抜け今月満80歳を迎えました。右も左も分からぬまま帳簿を付けるだけの一事務員からスタートし、手探りと試行錯誤を繰り返しながらお客様と共に学び、問屋の機能は何かを追求して参りました。そこでは、「欲張り過ぎない」「人に迷惑を掛けない」「景気に左右されない」という創業者である両親から授かった創業三訓を軸にしながら、これが真に正しいと思う事を一つずつ徹底して継続するばかりでした。
学歴も人脈も経験もない私に出来ることには限りがありました。「ただ真面目に、会社を潰さない事」 「絶対に家族と社員を路頭に迷わせない」 という想いでした。どうすれば本当の意味でお客様の商売繁盛のお役立ちが出来るのかを考え、人を雇い育てながら身の丈に合った正攻法の商売を心掛けてきました。
その政策の一つに、このインフォメーションの発行がありました。1984年(昭和59年)に開始した第一号の記事は、ちょうどその年に国家資格としてスタートしたインテリアコーディネーター試験のご案内でした。そのお知らせをきっかけにして、当社の社員とお客様を合わせて2名が見事合格し大変喜んだことを今でも覚えております。
A4一枚のインフォメーションとはいえ、語彙力の無い私にとって38年間一度も休まず発行するということは、それはとても苦労の多い作業でした。それでもここまで続けられたのはお客様からの反応があり、「毎回楽しみに読んでいるよ」 「役に立っているよ」 という言葉だけでなく、「なんだ、代金の支払いは遅れるなだと!!」 「手形支払いは止めて現金にしろ、集金でなく振込にしろ、自分の会社の都合の良い事ばかり言ってお前の会社は何様だ!!」 と厳しいお言葉を頂くこともございました。
ご案内から数年が経ったころ、「俺も元請けさんに対して手形でなく現金で振り込んでくれ、支払日に入金が無いと遅いと催促するんだ、あんたの言ったことは間違ってなかったよ。」 と、当時お叱りを受けたお客様が仰って下さいました。少し生意気な当時の商慣習には合わない発信でしたので、ご立腹されたお気持ちは良く解ります。それでも意識のどこかに留めて実践して下さった事でお客様の経営の役に立ったと実感できたことも継続の原動力でした。
そんな沢山の思い出のあるインフォメーションですが、80歳を迎えたこの節目にあたり終止符を打とうという気持になりました。会社運営の最前線に身を置かない立場では情報をキャッチする機会がずいぶんと減りましたし、年齢による感度の衰えを実感する場面が増えたこともその理由です。
それでも会社ホームページの「あ ・ う ・ ん」 コーナーでは、これからも身の回りや世の中の出来事に対して、思う事や感じた事を自分の言葉でつぶやいて参ります、年寄りの戯言と大目に見てやってください。
仕事を止めると、「 ボケる 」という説もありますので、好きな仕事が苦になる迄はもう少し皆様と繋がっていたいと念じております。2022年末に際し、38年ものあいだ稚拙なインフォメーションにお付き合い頂きました事に感謝し、厚くお礼を申し上げます。
どうぞ良い新年をお迎え下さい、これまでもこれからも本当にありがとうございます。